田んぼのチカラ

 

 

突然ですが、みなさんは「田植え」をしたことは?
小学生の時に授業で体験したことがある、という人もいるだろう。

私の趣味は田植えと、田んぼの周辺にいる生物相を調査することである。
大学一年生だった頃、生態系の講義で田んぼの生物の多様さを学んで以来、すっかりハマってしまった。卒業論文も、水田を利用する絶滅危惧種をテーマに選んだほどだ。

コメを作る、といっても、たやすいことではない。農家の人は、田起こし(土を砕く)、代掻き(田んぼの整備)、もみ撒き(苗を作る)、水引き、田植え、雑草除去、肥料散布、稲刈り・・・・といった作業を毎年、行なっている。先を急がず、どのタイミングで行なえば、秋に最も多くの穂が実るかを常に考えながらだ。毎日毎日、水の量は多すぎないか、病気は流行ってないか、日照時間はどうか・・・
農家の苦労は計り知れない。ましてや台風がやってきた日には寝ることもできないだろう。それもこれも、秋の収穫を祈ってのことだ。

社会でみんなが学んだ主要な穀物の中で、同じ畑で毎年毎年、作物を作れるのは実は田んぼだけなんだ。毎年水を張ることで、土が肥える。畑作は普通に耕作したら、「休耕」という何も耕作しない年が必要となる。そう考えると、田んぼの持久力は、すごい。

「え?うちの近くの畑、毎年何か作ってるよ!」と思った人、鋭い。
最近ではそれが可能なのだ。

「化学肥料」という言葉を聞いたことあるかな?
これを土に施せば、栄養分のなくなった畑でも耕作できる、まさに「魔法のサプリメント」なのである。アメリカの大規模農業でも使われているこの化学肥料。しかし、その効果は長続きしない。効かなくなるとまたこれを撒く。すると最後には、土が疲れきり、結局ダメな畑になってしまうのだ。

子どもたちに勉強を教えるようになって、思うことがある。
勉強についても、この田んぼの話と同じではないだろうか、と。
稲作や有機肥料を使う農業のように、土という「基礎」を大切にすることで、毎年毎年、長期にわたっておいしい作物を収穫できる。これと一緒で、勉強も、基礎を大切に耕してやることで、受験というステージで大きな花を咲かせることができる。そして、受験のあとも、その土のもとでさらに実力をつけることができる。

みんなには、化学肥料に頼って、燃え尽きてほしくない。
みんなには、田んぼのように、持久力のある強い人になってほしい。

フレミング左手の法則、解の公式・・・・・・確かに、覚えたほうがいいのかもしれない。しかし、忘れたら終わりだ。だから「なぜそうなるの?」という土台のところに目を向けてほしい。
そうすることで、いくらでも思い出せる。
そうすることで、「真の実力」を身につけることができる。
普段の授業や講習で、きっとみんなは基礎という畑を丁寧に耕してきたはずだ。


持久力をつけたみんなの将来、今から楽しみだ。

 

森田 善之