白い雑巾

 


 最近は便利な時代で、"白い雑巾"などというものが売っている。私が子供の頃はぼろぼろになった服を縫い直し雑巾にしたものだ。当然雑巾になった時点で既に薄汚れていて、見るからに雑巾にふさわしい。

  私も時代の流れには逆らえず、その白い雑巾を最近ではよく使っている。あたりまえのことかもしれないが、白い雑巾も使っていくうちに黒く汚れてくる。さて、この白い雑巾はいつ黒くなってしまうのだろう。そんなことを考えながら掃除を毎日している。

  ある日、おろしたての白い雑巾を使う機会があったので実験をしてみた。実験というほど高度で複雑なものではないが、色々と試しながら掃除をしてみた。掃除をすると当然その白い雑巾には汚れがついてくる。雑巾全体が汚れるわけではない。白い雑巾の上に汚れが乗っかっているという表現がちょうど良いかもしれない。次にいつものように洗ってみる。汚れは落ち、またもとの白い雑巾に戻った。おかしい、これでは雑巾はいつまでたっても白いはずだ。不思議に思い、雑巾をよく観察してみる。繊維の奥に若干汚れが残っている。これだ、これが溜まって雑巾は黒くなるに違いない。では、その汚れは落とすことが出来ないのだろうか。試しにその汚れに注意しながら洗ってみると、簡単に落ちた。

  毎日注意していれば決して付くことの無い汚れ。毎日の小さな気の緩みが、毎日の選択ミスが歳月を重ね大きく膨らんでしまう。

 

人生、毎日が選択。毎日が本番。

 

 『あの朝、かあちゃんに、おはようって言わなかったから、俺は事故に遭ったんだ。』という友人の言葉を思い出した。

 

佐藤 信太郎